研究
2024/05/01
重粒子線による不整脈リモデリングの抑制
医学部医学科の網野真理准教授（内科学系循環器内科学領域）がこのほど、日本循環器学会の「Circulation Journal Awards for the Year2023」を受賞。神戸市で開催された第88回学術集会最終日の3月10日に、授賞式が行われた。この賞は、各年度に学会誌『Circulation Journal』に掲載された原著論文の中から、特に優れた論文の筆頭著者に贈られている。2023年度は全127編のうち、7編が選ばれた。
当該論文「重粒子線照射は心房性頻脈性不整脈に対する脆弱性を軽減する：ギャップ結合と交感神経リモデリングの抑制を介して（和訳）」は、独創性や心臓血管学への貢献、将来への可能性などが高く評価された。 網野准教授は量子科学技術研究開発機構重粒子線治療研究部にも籍を置き、難治性の心室頻拍への臨床的新戦略として注目されつつある「低侵襲性定位放射線不整脈治療」について基礎実験を行っている。
今回の研究では、病態モデル動物を用いて重粒子線（炭素イオン線）の心臓照射により、心房細動や心室頻拍が抑制される現象を発見。そのメカニズムとして、炭素線は、心臓に活動電位を送るために重要な役割を担うギャップ結合タンパク（心筋細胞接合部）の回復と、心筋の興奮に関与する交感神経の過増生を抑制することを報告した。
網野准教授は、「医学部付属病院の循環器内科、放射線治療科、救命救急科をはじめ、伊勢原キャンパスの生命科学統合支援センターなど、ご協力いただいた多くの研究者に深く感謝します」とコメント。
本研究の第一人者で指導教員の吉岡公一郎教授は、「放射線の交感神経制御に基づく抗不整脈作用を、世界で初めて明らかにした画期的な成果。体外放射線治療は循環器領域における輝かしい治療オプションになると期待しています」と話している。※所属・肩書は当時
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