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研究

2020/08/01

実践的に活用できる人材を育成

【大学院生物学研究科がスタート】
深い専門知識を有し

札幌校舎に今年4月、大学院生物学研究科生物学専攻(修士課程)が開設された。時代の変化に合わせて生物学に関する専門的知識、生物の生理的機構に関する知識、生物多様性に関する解析やその保全、生物資源の維持・開発に関する知識を修得し、実践的に活用できる人材の養成を目的としている。研究科長を務める櫻井泉教授(生物学部)に、今後の教育・研究の展望を聞いた。

北海道の恵まれた環境生かす特徴ある研究活動を展開

生物学研究科は同校舎に置かれている生物学部生物学科、同海洋生物科学科の教員を中に13人の研究者が在籍。生物学の現在や技術者・研究者への道筋を学ぶ「共通科目」や、動物学を中心とした分類体系と環境、生命現象の数学的アプローチ法を学ぶ「基礎科目」を通じて幅広い専門知識の習得を図る。さらに、個々の動物の生理・繁殖機構を学ぶ「生命科学科目」や動物群の分布、行動、進化などを学ぶ「生態科学科目」を学修。高度な専門知識と応用能力を身につけていく。

研究科長の櫻井教授は、「本研究科の基盤となる生物学部は、2012年度の設立から8年間を通じて生物、海洋生物科学の両学科で多様な知見を培ってきました。生物学科では、動物の行動や多様性、地理学も網羅した生態学に取り組んでいます。海洋生物科学科では生物学に水産学を交えることで、海洋生物に関する幅広い事象をカバーしています。これらを踏まえ、在籍教員の専門性を生かしたカリキュラムを編成しており、学生のニーズに合った教育・研究を展開できると考えています」と話す。

学部生の進学を呼びかけ社会で活躍できる力を涵養

生物学研究科所属の教員は博士課程の大学院地球環境科学研究科や同生物科学研究科でも2人ずつが指導にあたっているため、修士課程修了後の進学先としてのつながりもある。「東海大学は大きな方針として学部から大学院にかけての6年間一貫教育を標榜しています。本研究科が設置されたことで、今後は札幌校舎で6年間、さらにその後の博士課程まで修めることができるようになります。学生たちには将来設計の中で大学院進学も視野に入れてもらえれば」と櫻井教授。

生物学部の学生には研究職や教育分野の職業、自然環境や海洋環境調査の職種を目指す学生が多いが、櫻井教授は、「これらの仕事では修士課程を経た人材が多く求められています。将来に向けて高い志を持つ学部生には、ぜひ大学院でスキルアップを果たしてほしい。また、大学院での研究では、学外の研究機関や他大学との協働も多く、社会との接点が増える面もメリット。自分に適した進路を見極めることもできます」と呼びかける。

陸と海の拠点を活用地域貢献活動も視野に

同研究科は4月に開設されていたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で札幌校舎内への立ち入りが制限されていたため遠隔授業を実施。教員と大学院生による研究活動は、政府の緊急事態宣言解除などを受けて研究を目的とした大学院生の入構が6月に認められたことから、本格的に始まった。

「すでに1期生がキャンパス内にある演習林である『光風園』で鳥類の調査に取り組んでいます。また、今後は生物学部が北海道寿都町と留萌市に設置している北海道臨海実験所でもさまざまな調査・実験を予定しており、陸と海の拠点と北海道の恵まれた環境を生かした特徴的な研究を展開していきたい。各拠点を生かした地域貢献や学内外の研究機関との連携、教員、大学院生の学会発表などを通じて成果を社会に発信していきます」

 

(写真上から)
▼札幌校舎内にある演習林「光風園」では、生物学研究科に所属する松井晋講師(生物学部生物学科)と1期生の石倉日菜子さんが鳥類の調査を始めている。石倉さんは「ここには多くの森林性鳥類が生息しています。学内の森林生態系で研究できる利点を生かしていきたい」と話す
▼「生物学部がこれまで培ってきた知見と、陸と海に構える両拠点、北海道の恵まれた自然環境を生かして特徴的な教育・研究を展開していく」と語る櫻井教授
▼留萌市の臨海実験所では、マナマコの増殖研究などが行われ、生物学部生もフィールドワークに取り組んでいる。同所長も務める櫻井教授は、「海の拠点としてさまざまな活用を考えています」

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