News:研究
2020年9月1日号
アカボウクジラの全身骨格標本
年内に海洋科学博物館でお披露目へ

海洋学部海洋生物学科の大泉宏教授の研究室と東海大学海洋科学博物館の学芸員らが8月17日に、骨格標本作成のために博物館敷地内に埋めていたアカボウクジラの骨を掘り起こした。

昨年9月、静岡市古宿の海岸に数個体のアカボウクジラが座礁した。そのうち体長565センチのメスの個体を大泉教授らが生態調査を目的に解剖。欠損や腐敗が少ない状態だったことから全身の骨格標本を作成するために博物館が引き取り、骨の周りに残った肉を自然分解させるため敷地内の地中に埋めた。その後学芸員が定期的に試掘し、自然分解が順調に進んでいることを確認。鯨類の専門家である大泉教授の指導のもと骨を掘り起こした。

当日は大泉教授や大学院海洋学研究科の大学院生、学芸員らがスコップで採掘。組み立て作業のため骨一つひとつに番号が書かれたタグを装着し、水とブラシで洗浄した。

アカボウクジラは水深500メートルより深い水域を好むため沿岸部での発見事例が少ない種だが、水深2000メートルをこえる深海がある駿河湾内に生息していることが大泉教授らの調査によって明らかになっている。大泉教授は、「駿河湾を代表するクジラであり、普段目にする機会が少ない種。全身の骨格標本は学術的にとても価値がある」と期待を寄せる。

また、大泉研究室に所属する大学院海洋学研究科2年の久野友愛さんは、「全身の骨格標本の作成は初めてなので、『どんな標本ができあがるのか』とワクワクしながら作業しています。この標本が博物館に展示され、多くの人の目に触れるのが楽しみ」と笑顔を見せた。

今後は、湯せんや漂白により骨を洗浄した後、年内に博物館で展示する計画となっている。

 
(写真上) 最初に頭骨を掘り出し、3人がかりで慎重にケースへ
(写真下) 教員と学芸員、大学院生が協力して採掘