大学の外に出て新たな学びを東海大学では、2013年度から文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」の採択を受けて、「To-Collaboプログラム」としてさまざまな地域連携活動を展開。パブリック・アチーブメント(PA)型教育として地域をフィールドにした授業も多数開講してきた。今回は東海大生200人に、キャンパス周辺地域への興味関心や、地域での学びの意欲についてアンケートを実施。5年間の採択期間に、学生たちは何を学び、何を得たのだろうか? (構成・編集部)
「東海大学が地域連携活動を展開していることを知っていますか?」との問いに、68%が「はい」と回答。しかし、「知っている」と答えた約7割の学生に「地域連携イベントや行事、授業に参加したことがありますか?」と聞くと、「はい」と答えたのは半数にとどまった。
それでも、「地域の人たちが何を求め、何に喜んでくれるかを肌で感じ、コミュニケーション能力を培うことができた」(教養学部3年・女子)、「普段あまり交流の機会がない人と接することで、考え方や地域の現状を知ることができた。講義で得た知識を実践できる機会でもある」(工学部4年・男子)など、参加した学生は多くの学びを得ているようだ。
一方、地域連携活動を展開していることを「知らない」と答えた32%の学生も、「機会があれば参加したいと思いますか?」との質問には70%が「はい」と回答。「内容を詳しく知らないので、自ら学んで新たな力にしたい」(海洋学部4年・男子)、「いつか参加できたらいいなと思う。学生と地域の人が交流を深められるのはいいことだと思った」(文学部2年・女子)といった声も上がる。
また、「地域連携活動を通して感じたことや学んだことはありますか?キャンパスがある地域の魅力は何だと思いますか?」との問いには多くの回答があり、学生たちの関心の高さがうかがえる。
「地域連携活動に参加する方々は意識が高く、さまざまな話を聞けることは学生にとってもいい刺激になる」(医学部3年・女子)、「東海大学に進学しなければ縁もゆかりもなかった場所なので、大学生活の中でこの地域の魅力を探したい」(政治経済学部1年・男子) といった意見や、「日々の活動を通してつながりができたことが、熊本地震のときに大きな助けとなった。地域とのつながりは本当に大切なものであると学んだ」(農学部3年・女子)といった声もある。
授業や課外活動を通して、あなたも地域連携活動に参加してみてはどうだろうか。
学生たちの声から▽清水は駿河湾や富士山といったフィールドが近いことが魅力。世界文化遺産の構成資産である三保松原の保護活動を地域の方々と協力して行える(海洋学部3年・男子)
▽学んでいる学問の正しい知識を地域の人に知ってもらういい機会だと感じた。特に環境などのことは広くさまざまな人に協力してもらわなければならないときがあるので、活動を通して協力を仰ぐことが必要(生物学部3年・女子)
▽スポーツや文化的なイベントなど、大学の活動を通じて地域に一体感が生まれる(体育学部4年・男子)
▽地域の方の話を聞いて、東海大学がいかにこの土地に愛されているかがわかった(文学部1年・女子)
▽小学生とかかわる地域活動に参加したことがある。高輪校舎の周りには学校が多く、活動を通して子どもの成長を感じられるのがうれしい(情報通信学部2年・女子)
▽1年限りではなく毎年続けていくことで、年々地域の方々とのつながりやふれあいが深まっていくのを感じる(教養学部3年・女子)
▽さまざまな年齢の人と話すことで、言葉遣いに気をつけることができた(農学部3年・女子)
▽文化祭で地域の方々や学生同士で作り上げた屋台で一生懸命頑張っている姿はとてもいいものだと思った。地域にお世話になっている身として、こういうことの積み重ねで恩返しができるのではないかと思う(基盤工学部1年・男子)
▽札幌軟石をはじめ、魅力的な産業が多くある。東海大に入らなければここまで深く知ることはなかった(国際文化学部4年・男子)
▽市民が求めていること、やってほしいことはなかなか可視化できない。要望を聞くといっても簡単ではなく、声に出せる人は多くない。しかし東海大は他大学より地域と密着し、市民と連携するイベントや組織があるので、市民が声に出せない部分を感じ取って実行し、還元することが学生の役目の一つではないか(文学部4年・女子)
▽学部の学びだけではカバーできない、住民の悩みやニーズを学生時代に知ることは、医療者にとって大切なこと。医療が充実している伊勢原だからこそ健康に関心を持っている住民が多い印象で魅力に感じている(医学部6年・男子)
▽地域のイベントに参加していると、「お疲れさま」「頑張ってね」と声をかけてくれるのでうれしい。大学の近くには個人経営のお店が多く、優しく話しかけてくれるので、初めてでも居心地がよく、また行きたいと思う場所が多い(教養学部1年・男子)
▽地域活性化のプロジェクトに参加しているが、参加していなかったら大学周辺のことを何も知らなかったと思う(法学部3年・男子)
▽地域連携イベントで、地域の方が大学で楽しんでいる姿を見て、大学が地域になじんでいるように感じた(工学部2年・男子)
▽代々木は都会ながらも地域の人同士のつながりが深く、お祭りなどにも多くの人が参加しているのでとてもいいと思う。小さい子どもや学生など、若い人がいるのは活性化に大きくつながっている(観光学部4年・女子)
▽学生が多いので地域の定食屋がアットホームで温かい。一人暮らしなので心が温まる(理学部4年・男子)
【2/16】To-Collaboプログラム最終報告会を開催
2月16日の午後1時30分から湘南校舎8号館で、「2017年度東海大学To-Collaboプログラム最終報告会」が開催される。
第1部では「若者×地域×未来」をテーマに、ソーシャル&エコ・マガジン『ソトコト』の指出一正編集長と山田清志学長が対談。学生が主役となるこれからの地域連携の可能性を、参加者とともに探っていく。
第2部では、今後の東海大学の地域連携活動の方向性を再確認することを目的に、17年度大学推進プロジェクトの4計画8事業の代表教員が登壇し、「To-Collaboで育んだ4つの計画8つの事業」と題したディスカッションが行われる。
参加は無料で申し込みは不要。高輪、清水、熊本、札幌の各校舎にもテレビ会議システムで配信される予定。問い合わせは地域連携センター 0463-50-2406まで。
【学生アンケート調査】●調査期間:2017年12月8日~2018年1月20日●調査対象者:東海大学在学生(湘南校舎:138人、代々木校舎:4人、高輪校舎10人、清水校舎:14人、伊勢原校舎:12人、熊本校舎:16人、札幌校舎:6人)●調査回答数:200人●調査方法:①学生モニターに東海大学新聞WEB版のアンケートフォームから回答を得る②キャンパス内でアンケート用紙を直接配布し回答を得る