勉強、動画視聴から日常生活まで

【Monitor’s voice】

本多朝樹さん

（文化社会学部1年）

将来はメディア関連の職業につきたいので、大学ではその経験を積むために、所属する広報メディア学科内の2つのプロジェクトに参加しています。そのほか、授業の課題や資格取得の勉強を効率よく進めるため、タイムパフォーマンスを意識して生活しています。

 

一人暮らしなので家事の中でも特に時間がかかる料理は、休みの日に1週間分を作り置きし、帰宅したらすぐに食べられるようにしています。食事しながらラジオを聴き、企画書を書き、調べものをして……。友人から「大変そう」と言われることもありますが、その全てが目標につながると思っているので、充実した時間を過ごせていると感じています。

学生たちの声から

Q．タイムパフォーマンスについて思うことは？

▶ 趣味や友人との予定を楽しむ時間をつくるために必要（医学部3年・男子）

▶ タイパを意識した行動は他の人がいると効率が低くなるので、一人のときに行う（体育学部1年・男子）

▶ 昔よりもコンテンツが増えているので、意識するのは仕方のないことだと思う（健康学研究科1年・女子）

▶ 社会に出るにあたって必要な考え方だけど、ここまで自由に生活できるのは学生の間しかないので意識しない。社会人になってから苦労するだろうけど時間が解決してくれるはず（農学部2年・男子）

▶ 人生は意外と自由に動ける時間が少ないので、タイパは重要（情報通信学部4年・男子）

▶ 一時期、タイパを意識して行動していたけど、中途半端な時間を過ごしている気がしてやめた（情報通信学部3年・女子）

▶ 日常の動作はタイパを意識してもいいと思うけど、他者とのコミュニケーションや自分がやりたいことには時間をかけるべき（工学部4年・男子）

▶ 時間を効率よく使うことは充実した生活を送るために大事。でも意識しすぎてしまうと物事を楽しめなくなってしまう（生物学部3年・男子）

▶ 時間にとらわれたくない！（児童教育学部1年・男子）

▶ 意識しすぎている人は生きづらそう（文化社会学部2年・女子）

▶ 効率重視は物事に取り組む楽しさや過程を無視してしまう可能性があるので、そこまで気にしない方がいい（文学部1年・男子）

▶ 時間をかけた結果、少しの成果しか出せなくても、いつか自分の役に立つ時がくると思う（文化社会学部4年・女子）

▶"急がば回れ"ということわざがある通り、タイパを重視しすぎるとかえって失敗する（文学部4年・男子）

▶ タイパを高めることに適したコンテンツとそうでないものがある。小説やエッセイなど没入感を大切にしたいジャンルでは意識しない（医学部6年・無回答）

▶ 効率を求めるのはいいと思うけど、音楽を倍速再生するのはいかがなものか……（政治経済学部2年・女子）

無駄な時間の中にある楽しさを見つけよう

文化社会学部

広報メディア学科

水島久光 教授

「タイムパフォーマンス」という言葉はもっぱら、無限に流れていく時間を有限に捉え、時間が必要なアナログ的な動作のネガティブな面を指して使われます。アンケートの結果では動画を倍速視聴する学生が多いようですが、「情報を多く知っていることが自分の価値につながる」と考える傾向と対になっています。

SNSや動画配信サービスが発展した現代では、世の中の注目度が高い媒体やインフルエンサーが利益を得、広告をできるだけ多くのユーザーに表示するために効率よく投資するシステムが増えています。つまり、経済を中心に情報の価値が回っている。これが動画を視聴する学生にも影響を与えたのでしょう。

しかし、実は"楽しいこと"は無駄な時間を過ごす中でこそ出会えるものであり、その体験は人生に興奮を与えてくれるのです。本当に好きなこと、楽しいことには惜しみなく時間を割くべきです。日常生活では、やりたくなくてもやらねばならないことはありますよね。それらを時短で処理することは仕方ないですが、逆に学生の皆さんは、それで広がった時間で、興味深いと思えることをたくさん見つけてほしいと思います。