ひと
2023/08/01
ゴール目前、静岡県下田市の透明な海を
楽しんだ（写真提供＝本人）
三重県・紀北町から神奈川県の江の島まで、約600キロをシーカヤックで単独航行した内田陽太郎さん。きっかけは昨年5月、知人に誘われて紀北町を訪れたことだった。「地元の川崎市とはまるで違う山と海と川のある風景。初めてシーカヤックに乗り、夢中になりました」
現地でカヤックガイドから「神奈川まで漕いで帰ってみれば？」と言われ、その気になってしまったと笑う。夏休みに挑戦しようと現地でトレーニングを積んだが、途中で背中を痛めて断念。そんな中、挑戦を後押ししたのは、コロナ禍の大学生活で「まだ何にも挑んでいない」という思いだ。計画を練り直し、自分でも驚くほどの実行力で今春学期を休学。心配する両親も説得した。
内田さん
出航は4月27日の早暁。旅の序盤、大王崎でテント泊をしていると初老の男性から声をかけられた。冒険の話をすると家に招かれ「畑仕事を手伝ったりお孫さんと遊んだり、気づくと3泊もお世話になっていました」。出発の朝には食料も持たせてくれて、その出会いが先の航海を不安から楽しみに変えてくれたという。
昼は航行し、日が落ちると上陸。ときには声をかけられて寿司をごちそうになったり一緒にキャンプを楽しんだり。貴重な出会いと別れを繰り返し、5月25日に江の島に着くと多くの知り合いが浜辺で出迎えてくれた。「人と話すのは苦手だったのに、多くの人に助けられ、人の温かさを感じました」。9月から復学。来春の卒業を目指す。
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