News:スポーツ
2020年4月1日号
「日の丸」背負い頂点を目指す
学生アスリートとして活躍した選手たちが、「日の丸」を背負い世界へ―。さまざまな競技で日本代表として活躍する東海大学の卒業生たち。東京オリンピック・パラリンピックの選考にも、多くの競技で学園関係者が名を連ねている。大会は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて延期となったが、選手たちの“世界一”という目標は変わらない。大舞台に立つために鍛錬し続ける卒業生3人を紹介する。

【女子ブラインドマラソン】世界一を支える2人のランナー

東京パラリンピック女子ブラインドマラソンで、金メダル獲得が期待
される視覚障がい選手をガイドランナー(伴走者)としてサポートする卒業生がいる。志田淳さん(工学部卒・NEC)と青山由佳さん(体育学部卒・相模原市役所)は、リオデジャネイロパラリンピック女子マラソン(T11・12混)銀メダリストの道下美里選手(三井住
友海上)の力走を支え、今年2月には別府大分毎日マラソンで2時間54分22秒の世界新記録をマークし、優勝した。

ともに大学在学中は陸上競技部に所属。志田さんは1995年から3年連続で箱根駅伝に出場し、卒業後も実業団選手として活動を続けていた。しかし、「30歳をこえて記録的にやや頭打ち」という状況にあった2005年、後輩から視覚に障害を持つランナーの伴走を頼まれる。「人助けというより、自分にとってプラスになる経験ができる。現状を打破するきっかけになるかもしれないと考え、依頼を受けました」

青山さんは09年の卒業後も市民ランナーとして走っていた。15年の秋ごろ、「翌年のリオパラリンピックを控えた道下さんが、遠征中の生活面も含めてサポートしてもらえる女性のガイドを探している」という話を聞いた。「健常者でもマラソンで3時間を切るのは大変。目が不自由でそれほどのタイムを持つ人がどんな走りをするのか、純粋に興味があってお会いしてみたいと思いました」

しかし、いざガイドを始めると、その難しさは想像以上だったと2人は口をそろえる。「初めて視覚障害のランナーと一緒に歩いたとき、『階段があります』と伝えたら、『上りですか? 下りですか? 幅は? 何段?』と矢継ぎ早に質問されて、これはとんでもないことを引き受けてしまったと思いました」(志田さん)、「道に何か落ちていて、1人のときはさっと避けられるものでも、言葉で促さないといけない。最初はとっさのひと言を出すのに苦労しました」(青山さん)

それでも2人は、選手とコミュニケーションを図りながら伴走者としてのキャリアを重ねてきた。「ガイドランナーは、ここはよかった、ここはこうしてほしいといった選手からのフィードバックを受けて、改善しながら信頼関係をつくっていくもの」と志田さん。選手によって伝え方を変えていかないといけない難しさもあるという。

東京パラリンピックは延期となったが、道下選手はメダルの有力候補にも名前が挙がる。志田さんと青山さんも着々と準備を進め、「前回のリオで銀メダルという悔しさを味わったので、今回は道下さんにかかわるみんなで金メダルを取りたい」(青山さん)、「金メダル獲得は必須。新国立競技場の表彰台のいちばん高いところに3人で立ち、君が代を歌う姿をイメージしながら練習に励んでいます」(志田さん)と力強く語った。


【7人制ラグビー】技術を磨き仲間を生かす

2016年のリオデジャネイロ五輪から正式種目となった7人制ラグビー(セブンズ)。東京五輪の第二次オリンピックスコッド(候補)に、林大成選手(体育学部卒・日本ラグビーフットボール協会)が選出された。

林選手は付属仰星高校(当時)と東海大学のラグビー部で主将を務め、卒業後はトップリーグのキヤノンイーグルスに入団。1年目からメンバー入りしていたものの、東京五輪出場を目指して18年に日本協会に籍を移し、セブンズ専任契約を結んだ。

15人制と同じグラウンドを約半分の人数でプレーするセブンズは、足の速さや瞬発力が勝負のカギを握る。代表にはラグビー界屈指の韋駄天が集う中、「自分は特別足が速いわけでも、精度の高いキックを蹴れるわけでもありません。複数のポジションができるオールマイティーさと、スピードランナーたちを生かすゲームコントロールが武器」と自身の特徴を語る。

昨年11月に始まり、10月まで世界10カ国を転戦する「HSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2019-2020」にも日本代表として出場。しかし、2月に行われた第5戦のチリ大会はメンバーから外れ、「突出した能力のある選手たちの中から選ばれるには、ステップやパス、スローインなど細かいスキルを向上させる必要がある」と奮い立ち、ステップの練習を強化。3月の第6戦カナダ大会ではメンバーに復帰した。

「日本はアタックが強みのチーム。速いテンポで試合を進められれば、強豪国とも渡り合える。チームの目標である金メダル獲得を目指し、世界が沸くようなステップを切りたい」と意気込んでいる。

 
(写真上から)
▼志田さん(右)と青山さん(左)は1月下旬に道下選手とともに千葉県富津市で合宿を張った
▼志田さん
▼青山さん
▼「見ている人が楽しいと思うプレーで競技の魅力を伝えたい」と話す林選手