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スポーツ

2020/09/01

感染防止対策講じ練習に励む

【運動部が順次活動を再開】競技ができる喜び胸に

東海大学の運動部が段階的に練習を再開し始めてから約2カ月。各部は大学独自のガイドラインに沿って対策を講じながら練習に励んでいる。室内で活動する男子バスケットボール部と、湘南校舎から離れた専用グラウンドで練習する硬式野球部、いち早く再開した陸上競技部を紹介する。

【男子バスケ部】
遠隔での練習取り入れ “最高のチーム”を目指す


湘南校舎の総合体育館で活動する男子バスケットボール部は、他の部活に先駆けて3月27日に活動を休止した。選手たちは各自で自主練習に励んでいたが、広い場所がない、ボールをつく音が騒音になるといった理由から、「満足できるような練習はなかなかできませんでした」と津屋一球主将(体育学部4年)は振り返る。

外での練習が十分にできない分、週に1回、WEBビデオ会議システム「Zoom」で約40人いる部員をつなぎ、チームのトレーニングコーチの指導のもと筋力トレーニングをしたり、戦術についての意見交換をしたりしてきたという。

「選手たちと毎週顔を合わせ、体調は悪くないか、練習はできているかなど、近況報告をする貴重な場になった」と陸川章監督(体育学部教授)は語る。

何ができるかを考え 人間力を磨く

活動を自粛してから約4カ月が経った7月20日に練習を再開した。毎日の健康観察は、大学スポーツ協会「UNIVAS」が提供する体調管理アプリ「ONE TAP SPORTS」を活用。検温の結果や体調の変化を選手、指導者全員が毎朝記録し、管理している。

総合体育館は男女バレーボール部や男子ハンドボール部なども使用することから、入り口と出口を分けて導線を1方向にし、入り口では検温と消毒を徹底。陸川監督らが指導する際にはマスクやフェイスシールドをつけて感染防止を図る。

1日90分の限定で再開した練習では、ハンドリングやシュート練習、技術や戦術の確認から始め、3週目には軽いコンタクトのある対人練習も取り入れた。「広いコートで練習ができていなかった分、最初のうちは呼吸が続かず、体がついていかなかった」と陸川監督は振り返る。それでも、練習の負荷を落とすなど体に配慮したメニューで、選手たちは徐々に力を取り戻している。

春の関東大学選手権大会、秋の関東大学リーグ戦ともに中止となったが、リーグ戦の代替試合が10月10日から11月7日に予定されている。陸川監督は、「現状を恨んでも仕方がありません。選手たちにはこの状況を受け入れ、制限のある中で何ができるのかを考え、実践することで人間力を磨いてほしい」と期待を寄せる。津屋主将は、「練習ができる日々が戻ってきて、バスケに対して貪欲になれている。このチームにかかわるすべての人が“最高のチームだった”と感じられるように、一日一日を大切にしていきたい」と前を向いた。

【硬式野球部】
自主練習に取り組み 全国制覇に向け始動


「各部の指導者や教職員の協力のもと、大学のガイドラインをもとに野球部独自のガイドラインもつくり、関係者の皆さまのご尽力により練習を再開できたことに感謝しています。選手たちには新型コロナに“うつらない、うつさない”を合言葉に練習に励もうと話しています」と硬式野球部の安藤強監督は話す。

湘南校舎から車で5分ほどのところに寮とグラウンドが併設されている野球部は、7月13日にAチーム40人限定で練習を再開した。寮生活のため、朝と練習前、夜の点呼の際には全員が検温をして記録をつけ、食事は20人ずつ席を離してとるようにしている。寮内の洗面所には消毒液を置き、練習後には捕手のレガースや打撃用のヘルメットなどの消毒を徹底。雨天練習場の使用も人数制限を設けている。

春の公式戦が中止になり、戸﨑慶主将(体育学部4年)は、「ショックは大きかったけれど、ほかのスポーツも軒並み中止になる中で、自分たちにはまだ秋がある。そこに向けて頑張ろうと切り替えた」と振り返る。

自粛中は各自自宅に帰り、自主練習に励んだ。クリーンアップ候補の小玉佳吾選手(体育学部3年)は、実家近くの神社で走り込み、父親とキャッチボールをするなど、「今できることに全力で取り組んだ」と話す。先発の一角として期待がかかる宮路悠良選手(健康学部3年)は、弟とのキャッチボールや自重トレーニングに時間を割いたが、「思いっきり球を投げる場所がなく、筋力が落ちてしまった」と振り返る。練習再開後は「体を戻すことが第一」と投げ込みに励んでいる。

リーグ戦9月19日開幕 歴史と伝統をつなぐ
首都大学秋季リーグ戦は9月19日から10月10日まで、感染リスク軽減のため1試合総当たりの勝率制で争われることとなり、「リーグ優勝、全国制覇に向かって上級生が先頭に立って引っ張る」と戸﨑主将は語る。

8月16日からは練習時間を4時間に延長し、オープン戦も開始。さらに28人の選手が合流し、秋のリーグ戦に向けて熾烈なレギュラー争いを繰り広げている。一方で、約130人いる部員の半数はまだ練習に参加できず、自宅で自主練習を行っている。人数制限が緩
和されれば徐々に復帰していく計画だが、新型コロナの感染拡大を受けて先行きはまだ不透明だ。安藤監督は、「全体での練習を再開できず、先の見えない不安もありますが、歴史と伝統をつないでいくために、選手と一緒に頑張っていきたい」と語った。

【陸上競技部】
ガイドラインを守り ブロック別に記録会開催


湘南校舎で活動する陸上競技部は7月から練習を再開。東海大独自のガイドラインに沿って、短距離、中長距離競歩、跳躍、投てきブロックそれぞれで検温や消毒を徹底しながら、キャンパス内外でのトレーニングを始めた。

短距離ブロックの指導にあたる髙野進監督(体育学部教授)は、「自粛期間中も選手の不安を取り除いたり、モチベーションを維持したりするために、SNSやWEBビデオ会議システムを使って頻繁に連絡をとり合ってきた」と振り返る。

7月11、12日には、中長距離競歩ブロックが秦野市カルチャーパーク陸上競技場で記録会を開催。8月5、8、9、12日にはそのほか3ブロックの記録会が同競技場とBMWスタジアム平塚で開かれた。それぞれの市や日本陸上競技連盟が策定した感染防止ガイドラインのもとで競技に臨んだ選手たちの姿に、植田恭史部長(体育学部教授)は「先の見えない不安の中でも選手たちは競技者としての自覚を持ち、懸命に努力を重ねている」と語る。

9月11日から13日には新潟県・デンカビッグスワンスタジアムで日本学生対校選手権大会が開かれる。髙野監督は「今の情勢を悲観せずに、自分のできるベストを尽くしてほしい」と話し、植田部長は「勝ち負けはもちろん大切だが、今年度に限っては選手たちそれぞれの精いっぱいの力を出しきってほしい」と期待を語った。

関連記事=独自のガイドラインで対策図る 教職員が連携して意見交換

 

(写真上から)
▼検温や消毒をして感染防止策をとりながら全体練習を再開
▼フェイスシールドをつけて指導する陸川監督。「マスクだと声が通らず指示が伝わりにくいが、フェイスシールドだと口の動きが見えるので選手たちも理解しやすい」
▼8月19日のオープン戦ホーム開幕戦では、JFE東日本と対戦。無観客で、審判らはマスクを着用するなど感染防止対策を図った
▼食事の前には必ず消毒
▼記録会の運営にあたる学生はフェイスシールドを着用

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