スポーツ
2021/03/011回戦で相模高VS甲府高
選抜高校野球大会(3月19日から13日間・阪神甲子園球場)の出場校選考委員会が1月29日に開かれ、秋季関東地区高校大会ベスト8の付属相模高校、同ベスト4の付属甲府高校、秋季東京都高校大会優勝の菅生高校が選出された。2月23日には組み合わせ抽選会がオンラインで行われ、大会2日目の第3試合で相模高と甲府高の直接対決が決定。菅生高は聖カタリナ学園高校(愛媛)と大会5日目での対戦が決まった。各校の戦力を紹介する。
【相模高】エース石田選手が牽引
9月に開催された神奈川県高校秋季大会を安定した強さで制した相模高。その後の関東大会ではベスト8となったが、両大会の通算8試合で総得点は71、総失点11と安定した戦いぶりが評価され、関東・東京枠最後の1校として選抜切符を手にした。吉報を受けた門馬敬治監督(同高教諭)は、「選ばれるのか選ばれないのか、最後の最後までどうなるかわからなかった。今までにない緊張感があり、決まったときはとてもうれしかった」と安堵の表情を浮かべた。
エースとしてチームを引っ張るのは石田隼都選手(2年)。躍動感ある投球フォームから力強い直球を投げ込んでいく。捕手からボールを受け取るとすぐに投球動作に入り、リズムよく相手打者を翻弄するのも特徴だ。県大会、関東大会の通算防御率は1.49、46三振を奪った。関東大会準々決勝の甲府高戦は1―2で敗れたものの、8回まで無失点に抑える快投を見せた。自身3度目となる聖地での投球に、「エースとしてチームを勝利に導く投球をしたい」と意気込む。
打撃陣では、バントヒットや右打ちなどの小技に加え、積極的に次の塁を狙う相模高伝統の「アグレッシブベースボール」が健在。1番打者として攻撃の起点となる大塚瑠晏主将(2年)は、「選抜初戦の甲府高戦では、関東大会のリベンジを果たしたい。勢いに乗って日本一まで駆け上がる」と語る。門馬監督は、「選手たちはいまだ成長途上。学園の代表として、“タテジマのプライド”を胸に戦います」と話した。
【甲府高】1番猪ノ口選手に注目
エース若山恵斗選手(2年)と三浦諒太選手(同)のバッテリーを軸に秋季高校山梨県大会を制し、関東大会準々決勝では相模高を9回サヨナラで破ってベスト4となった甲府高。三浦主将は、「昨夏は新型コロナウイルス感染症の影響で県大会が中止になり、独自大会で優勝しましたが甲子園には行けませんでした。関東大会で相模高に勝った後、学校に戻ると、3年生が“おめでとう”と出迎えてくれた。悔しい思いをした先輩の分も優勝したい」と意気込む。
若山選手は県大会から関東大会までの約3週間にフォームを見直し、変化球の制球力が向上。最速139キロの直球にカーブ、スライダー、チェンジアップを織り交ぜ、「強気で気迫ある投球を見せたい」と気合十分だ。
関東大会準決勝で常総学院高校(茨城)に0―10で6回コールド負けを喫した反省から、冬場は打撃強化に取り組んできた。重心を低くし前後に体重移動してから打つロングティーでは股関節の使い方や下半身で打つ感覚を磨き、1.2キロの金属バットや木製バットも振り込んできた。
村中秀人監督(同高教諭)は秋の8試合でチーム最多の13打点を挙げた猪ノ口絢太選手(1年)をキーマンに挙げ、クリーンアップも担ったルーキーの1番起用を示唆。「関東大会後から1日6合の米を食べて体重も73キロから80キロに増えた」という猪ノ口選手は、「足を使った打撃や盗塁で好機を広げ、小学生のころから夢だった甲子園で活躍したい」と青写真を描く。相模高との再戦に村中監督は、「冬場にどちらがより成長したのか。非常に楽しみ」と語った。
【菅生高】機動力武器に初の頂点へ
菅生高は夏季西東京高校大会、同東西決戦、秋季東京都高校大会をすべて制し、公式戦15連勝中と勢いに乗る。若林弘泰監督(同高教諭)が「どの打順からでも点が取れる」と評価する打線は、秋季大会8試合で打率3割8分9厘をマーク。さらに、盗塁は53個と機動力も大きな武器だ。
チームトップの15盗塁を決めた福原聖矢選手(1年)は走力だけでなく、状況に応じて広角に打ち分ける非凡な打撃力も併せ持つ。若林監督も「冷静な判断力はもちろん、センスが抜群。まさに野球の申し子」と絶賛。捕手としても、秋季大会決勝の日本大学第三高校戦では、一塁への牽制でランナーを刺す肩の強さを見せた。
リード面でもエース左腕の本田峻也選手(2年)ら投手陣を巧みにまとめる。中学時代にもU―15日本代表でバッテリーを組んだ2人はコンビネーションも抜群で、「福原のサインには首を振らない」と本田選手。
日大三高戦では最速143キロのストレートとチェンジアップ、スライダー、カーブを織り交ぜた緩急自在のピッチングで、7回1安打1失点に抑えた。
選抜に向けて、福原選手は、「夢見ていた甲子園出場が決まり、モチベーションを高く持って冬場の練習にも取り組めた。相手の嫌がる野球を徹底し、チーム初の選抜勝利を通過点に日本一を目指す」と意気込み、栄塁唯主将(2年)は、「ノーヒットでも着実に点を取るような隙のない野球が目標。新型コロナウイルス感染症の影響で、甲子園の舞台に立てなかった先輩たちの思いを胸に戦う」と話した。
(写真上から)
▼出場決定の吉報に笑顔を見せる選手たち
▼選抜での活躍を誓う(左から)猪ノ口選手、若山選手、三浦主将
▼U―15日本代表でもバッテリーを組んだ福原選手(左)と本田選手
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