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特集

2012/01/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

海洋学部環境社会学科の公開セミナー

事前準備から司会進行まで 学生が企画運営を担当

学生の手でセミナーを運営し、学びの機会を広げよう―。昨年4月、海洋学部に開設された環境社会学科が、10月から12月まで3回シリーズの地域公開セミナー「共に拓く しずおか環境社会の新時代」を開催した。このセミナーの運営を担ったのは同学科の1年生たち。第3回セミナーの会場を訪ねた。

「こちらにご記名をお願いします」「本日の資料をどうぞ」「携帯電話の電源はお切りください」……。開会を待つ会場に、スーツを着込んだ学生の少し緊張した声が響く。他の学生たちも開会前のBGMを流したり、配布資料を準備するなど慌ただしく動く。そんな学生たちの横では、セミナー事務局を務める同学科の東惠子教授と李銀姫講師が、進行の確認やアナウンスのタイミングを指示する。「セミナーを聴講するだけではなく、運営側に回ることで問題解決能力やコミュニケーション力を身につけてもらいたい」と李講師。今回のセミナー開催にあたって同学科では、担当の教員が講師や演題などを立案。それと同時に、授業内で企画・運営を教員とともに担う学生スタッフを募った。

「社会に出たときに通用する能力、経験、知識を身につけたい。セミナーの運営にかかわることで自分の力を上げたいと考えました」と話すの学生スタッフのリーダーを務めた佐藤幸太さん。同じくスタッフの渋木亮祐さんは「この経験を将来に生かしたい」と話す。

初めての体験に緊張 反省会で課題を確認
こうして集った学生8人。セミナー開催を学内外に周知するポスターの作成や広報動、当日配布する資料の作成といった事前準備から、会場での受け付けや司会進行、来場者へのアンケート配布などを毎回手分けして行った。

石塚修也さんは、「特に緊張したのは、広報活動で公民館や学校などにポスターの掲示をお願いする訪問係を務めたとき」と言う。「見知らぬ人にアポイントメントを取って、こちらのお願いを聞いていただく。初めての体験だったので、最初は部屋に入るのもためらうほどでした(笑)」

学生たちは東教授と李講師から助言を受けながら、毎回セミナー終了後に反省会を行い課題を確認していった。事前連絡の徹底、周囲の仕事を見る、完成形をイメージした会場運営―。渋木さんと石塚さんは「何事も経験。次第に慣れていきました」と口をそろえる。

佐藤さんは、「細かいところまでなかなか手が回らず、毎回反省の繰り返しだった。次はもっと完成度の高い催しにしたい」と今後の活動を見据えている。「学生たちはセミナー自体や運営を通して、社会の仕組みや自分たちとのつながりを学んでくれた」と東教授は手応えを語る。セミナーには付属翔洋高校、同中等部が共催として加わっており、今後は一貫教育体制を生かした環境教室の開催なども検討しているという。「来年度は講演内容の立案や講師の選択も学生たちと行う予定です。さらに多くの学生に参加を募り、地域と連携した実践的な活動に発展させていきたい」

大学と地域が協働して 環境社会づくりを始動
環境社会学科の地域公開セミナーは、キャンパスのある静岡市清水区を中心に、地域の環境保全活動にかかわる企業や行政、NPOの代表など各分野の専門家を招いて開催された。

同学科では、静岡地区の豊かな自然環境と地域環境を基盤に、市民や企業、行政など地域社会との積極的な連携を通して持続可能な社会づくりに貢献し、地域をリードして環境問題に取り組む人材の育成や社会教育を目指している。セミナーは、その教育活動の一環として、今後、大学と地域とが協働で取り組む環境社会づくりのスタートとして企画されたもの。学科主任の北勝利教授は「現実感のある地域環境問題への理解と意識とともに、問題解決に向けた実践的知識を得る機会になれば」と話している。

学科主任に聞く
環境問題を多角的にとらえる文理融合で人材を育成
海洋学部環境社会学科 北 勝利 教授

地球温暖化や生物生態系の変化、海洋汚染といった環境問題に取り組むには、技術的、科学的な視点はもとより、そこに暮らす人々の意識改革や社会システム改善など多角的なアプローチから解決の方策を探る必要があります。

環境社会学科は、さまざまな環境問題を自然科学と社会科学の両面から大きくとらえ、俯瞰して判断できる人材の育成を目指して設立されました。人類が地球環境と共生していくための具体的取り組みの目的と手段についての学習を通して、文系理系の枠にとらわれない柔軟な思考と、知識や技術を実社会で活用できる実践力を涵養していく考えです。

海洋学部にある学科としての特色を生かし、海や沿岸地域の環境をテーマとした講義や実習・演習を開設しています。また、地域社会と連携した具体的な活動も実施していきます。すでに本学科生を中心にキャンパスのある三保地区におけるエコツアーの提案や、海洋学部各学科の教員が生物多様性保全などの研究に取り組んできた愛知県西尾市東幡豆で、自然観察会のボランティアスタッフを務めるなど積極的な活動を展開しています。今回のセミナーも含め、学生たちにはさまざまな学びの機会を逃すことなく、知識と経験を身につけてほしいと考えています。

 
(写真上)セミナーに向けて何度も打ち合わせを重ねてきた
(写真中)終了後に東教授(右から2人目)が学生を紹介
(写真下)第3回には学生、教職員が多数参加した

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