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特集

2025/03/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

【第54回海外研修】 “変化を舵に”成長の航海へ

太平洋32日間の船旅始まる

 

東海大学の「第54回海外研修航海出港式」が2月11日に、静岡市・清水マリンビルで挙行された。1968年から実施されている海外研修航海は、海洋調査研修船「望星丸」(国際総トン数=2174トン)で世界各地を巡り、文化理解・環境問題・協調性の大切さなどを実践的に学ぶ独自の教育プログラム。静岡市・清水港を出港後、父島(東京都小笠原村)、ポンペイ(ミクロネシア連邦)、コロール(パラオ共和国)に寄港し、3月14日に清水港に帰港する。出港を前にした団長、船長、学生長に意気込みを聞いた。

 

清水港を出港し、最初の寄港地・父島へと

向かう望星丸

「Opportunity in Every Wave:変化を舵に君(あなた)の航海へ」がテーマの今回の航海。日常とは異なる変化の多い航海中に、さまざまな機会を逃さず主体的に行動し、それぞれの成長につなげてほしいという思いが込められている。 

 

 

航海中は、各寄港地でさまざまな文化に触れるフィールドワークが行われるほか、スポーツ大会や洋上卒業式といった多彩な船内プログラムも予定されている。

 

今回は全国の各キャンパスから93人の研修学生が集い、団役員、望星丸乗組員、海洋学部航海工学科航海学専攻の練習学生を合わせた総勢145人が乗船する。

 

 

松前総長らがエール 挑戦を誓う学生たち

 

出港式には研修団を見送る保護者らが集った

出港式では、松前義昭総長・理事長があいさつに立ち、自身が学生、また団役員として参加した研修航海を振り返るとともに、「大海原で過ごした時間は今でも貴重な体験として記憶に残っています。皆さんにはぜひ、寄港地に住む人々の習慣や文化を感じてもらいたい。発見から得た知識を記憶に留め、人生の糧となるような経験を積んでください」とメッセージを送った。また、来賓祝辞では静岡市副市長の吉田信博氏が登壇し、研修団を激励した。

 

 

松前総長・理事長(左端)から団旗を

受け取った森下団長

続く研修団宣誓では、団長の森下達哉教授(工学部)、望星丸の豊田力船長、学生長の牧田遼樹さん(生物学部3年)がそれぞれの抱負を発表。牧田さんは、「機会を用意してくださった学園関係者の皆さまや、私たちの活動に理解と協力をしてくれた家族に感謝しています。仲間たちと共に学び、共に挑み、共に助け合いながら、学生93人全員が成長した姿で清水港に戻ってきます」と誓った。 

 

最後に松前総長が森下団長に団旗を授与し、見守った学生や教職員、保護者から大きな拍手が送られた。

 

 

出航の合図とともに、船から紙テープを投げた

学生たち

式典後には清水港日の出埠頭に移動。出航を前に、「寄港地で出会う人とのコミュニケーションが楽しみ」「各地の文化を見て、価値観を広げて成長したい」と笑顔の学生たち。見送る人たちと色とりどりのテープを投げ合い、晴れやかな顔で大海原へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

初の研修航海で学生長に立候補。

研修団全員の前でスピーチして選ばれた

かけがえのない思い出を
学生長 牧田遼樹 さん(生物学部3年)

 

昨年度の研修航海に参加した札幌キャンパスの友人や職員の方が、「いい経験ができた」「一生の思い出になる」と話しているのを聞いて興味を持ったことがきっかけで、自分も参加したいと考えました。

 

昨年度は札幌学生会会長として建学祭の運営などに携わりましたが、学生時代に参加できるイベントにはチャンスがあるならできる限り関わりたいという思いもありました。

 

初めての海外渡航になるので、寄港地で出会う現地の人と会話がしたいですね。英語はあまり得意ではないのですが(笑)ボディランゲージを交えて、とにかく「話したい」という思いを相手に伝えます!

 

学生長としては、皆の「やりたい」という思いを集約し、何か一つの企画をつくり上げたいです。団役員の方々とも協力して「挑戦」と「成長」を繰り返し、かけがえのない思い出を残すことが目標です。

 

慣れない船内で生活を共にするため、ストレスがたまってトラブルが起こる可能性もあります。一人ひとりの意見を聞き全体の様子を把握してトラブルを収め、全員が楽しい気持ちで無事に航海を終えたい。船を降りた後も交流が続くような旅にします。

 

自身3度目となる研修航海に臨む

成長に誇りを持てる旅に

研修団長 森下達哉 教授(工学部)

 

出港が迫る2月8日から静岡市・清水港停泊中の望星丸で事前研修を行い、研修団の対面式や役割決めなどを行いました。今回の研修団には、各キャンパスの学生会やサークルなどの団体に所属しているメンバーが数多く、それぞれの活動で培ってきたノウハウを生かして作業を進めている姿が印象的でした。

 

教職員からの指示を待たずに、自ら進んで活動する姿勢は、順風満帆な航海への期待を高めてくれています。私は、第44回と49回の海外研修航海に参加しており、2度とも、大きく成長する学生の姿を目の当たりにしました。今回の学生たちにも、自身で「成長できた」と誇れる点を見つけてほしい。帰港式で日ごろお世話になっている方々と再会したときに、「参加してよかった」と報告できる航海になればうれしいですね。航海を通じて深めた友情は一生の宝になるはずです。寄港地では、現地学生との交流会も予定しているので、ぜひ多くの友人をつくってほしいと考えています。 

 

初めての船内生活に初めこそ戸惑うかもしれませんが、規律を守り、安全を最優先にして、研修団一丸となって32日間を過ごします。

 

 

海上保安庁から「望星丸」へ。

「安全第一で明るく楽しい航海にしたい」

万全の整備で実りある航海に

海洋調査研修船「望星丸」 豊田力 船長

 

昨年6月から望星丸船長に就任し、今回が初めての海外研修航海となります。約8カ月間の望星丸での勤務で印象深いのは、実習に臨む学生の姿が自由闊達で明るい雰囲気であること。私も毎日を楽しんでいます。

 

望星丸は昨年12月から1カ月半にわたるドックでの修繕を経て、長期間の航海にも問題なく臨めるよう整備を重ねてきました。我々望星丸乗員一同は、新たな学びや発見ができるよう全力でサポートすることが役割です。機関や甲板、司厨など各ポジションで装備を見直し、正常に航海できるよう万全の備えを図っています。 

 

私自身、海と船が大好きで40年にわたってこの仕事を続けてきました。同じように海洋に憧れを持つ学生もいるでしょうが、海は我々には何もしてくれません。海と対したときに自分がどのように感じるのかが大切であり、それぞれの捉え方があるのだと思います。船内では陸上にいるときよりも時間がゆっくりと流れます。また、海上の同じ場所であっても時間や天気が違えば、同じ環境にはなりません。その時々でゆったりした船旅を楽しみ、実りある航海にしてほしいですね。

 

第53回航海の参加学生が三保松原で清掃活動

 

 

昨年度に実施された第53 回海外研修航海に乗船した学生有志のユニークプロジェクト「meet again osec53」が、2月8日に静岡市・三保松原周辺で開かれた清掃イベントに参加した。同プロジェクトは、航海中の学びや感動の発信などを目的に活動している。 

 

湘南と静岡両キャンパスの学生9人と団役員も加わり、約60人の参加者が約200袋分の松葉を収集=写真。学生たちは、「三保松原の美しさをあらためて認識した」「地元の方とも交流でき、学びを得られた」と話していた。

 

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