特集
2022/07/01
湘南校舎に学生が“集う場”をつくろう――建築都市学部で4月から「パビリオンプロジェクト」が展開されている。学生がグループに分かれて模型を作り、審査を経て実際に湘南校舎15号館前の小広場に建設し、11月の建学祭で披露する計画だ=本紙6月1日号またはWEB版を参照。5月28日に授業内での審査会、30日に山田清志学長へのプレゼンを経てデザイン案が決まり、建設に向けて動き出している。
「入門ゼミナール」の一部として企画された同プロジェクトではこれまで、建築学科と土木工学科の1年生410人が敷地状況の分析やアイデアの着想、形を考える「エスキース」に取り組んできた。パイプの長さは3種類、接合部は40カ所程度で、「トラス」と呼ばれる三角形の骨組みを基本とするといった条件下で綿棒とストローを使って模型を制作した。
28日の両学科の教員による審査会では、5つの教室ごとに学生が模型と資料を用いてコンセプトや作品を完成させるまでの経緯を説明した。各教室上位4作品を集めた2次審査では、デザインや実現可能性、コンセプトなどを踏まえて優秀賞1席から4席が決定。角田俊太朗さん、佐藤敢太さん、辻田和志さんの「みつける。くぐる。つどう。」と題したアーチ形のパビリオンが1席に選ばれた。
岩﨑克也学部長はプロジェクトを振り返り、「協力し合う中で友人関係を築き、基礎知識を学んでいる段階ならではの”しばられない”柔軟な発想を形にしてくれました。各教室に両学科の教員を配置したことで交流が生まれ、今後の新たな教育・研究活動にもつながるのでは」と期待を語った。
広い視点で建築を学ぶ教員同士の交流も
4グループの学生は30日に、山田学長とユニバーシティビューローの松本隆ゼネラルマネージャー(広報担当)、岩﨑学部長へのプレゼンに臨み、角田さんらの作品が最優秀賞作に決まった。
審査にあたった山田学長は、「どれも素晴らしい作品でしたが、最優秀賞の作品は場所や設置方法まできちんと考えられていました」と講評。佐藤さんは、「模型を作っている最中は、このような場に立ち、賞をもらえるとは思っていなかったので素直にうれしい」と話し、辻田さんは、「みんなで案を出し合い、いいものにできたと感じています。コンセプトを大事にしながら、なるべくそのままの形で実現したい」と先を見据えた。
デザイン案決定後は、「デザインデベロップメント」「記録・広報」「施工・運営・管理」のプロジェクトチームを立ち上げ、それぞれ活動を始めている。角田さんは、「先生方や先輩方にも助けてもらいながら、自分たちのアイデアが実際の形になっていく過程を一から経験したい」と意欲を見せる。
6月14日にはオンラインで実施案公開検討会が行われ、野村圭介講師らが作成した3D画像を用いて安全性や耐久性、部材の種類などが話し合われた。今後は7月中旬までデザイン案を検討し、部材の発注、実際の建設に着手する。岩﨑学部長は、「プロジェクトチームには広く学生の参加を呼びかけています。一連の制作プロセスを学び、成し遂げる力を養うだけでなく、広報活動などにも力を入れ、広い視点で建築に携わる学生を育てたい」と語った。
パビリオンプロジェクトメンバー募集中。詳しくはこちら。
<最優秀賞>
「みつける。くぐる。つどう。」
角田俊太朗さん、佐藤敢太さん、辻田和志さん
ねじれを強調し、けやき並木の続く中央通りに沿うようにすることで見つけやすい形に。メインストリートと広場の間にゲートをつくり、くぐって敷地内に入ると、独立した落ち着きのある空間となり、ベンチに腰かけて交流するなど、人が集まりやすい。
<優秀賞2席>
「深海の世界で休憩しませんか?」
植松荘太さん、名嘉一樹さん、塩島楓菜さん
東海大学海洋科学博物館の「リュウグウノツカイ」をイメージし、頭から尾までを4つに分けることで地中に潜る様子を表現した。作品の間隔をあけてスケール感を出すとともに中央の木を生かし、それぞれの想像力によって違った楽しみ方ができる。
<優秀賞3席>
「とぐろを巻く休憩所」
橋本葵さん、中里光希さん、梅村希碧さん
「思わず入ってみたくなる」をコンセプトに、丸みを帯びた形にすることで、自然の中に溶け込むよう意識している。螺旋はヘビが木に登っている姿をイメージ。中央のベンチに座ると螺旋を楽しむことができ、高さがあって目立つため待ち合わせ場所にもなる。
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