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特集

2012/05/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

札幌校舎に生物学部を新設

フィールドワークや実験を重視し
北海道の自然を生かす授業を展開

4月から、札幌校舎に生物学部と国際文化学部デザイン文化学科が新設された。東海大学が全学的な再編強化を視野に進めている、教育・組織改革の一環で設置されたもの。フィールドワークや実験を重視する新しい学部学科の取り組みを紹介する。

「北海道の自然を生かし、生物全体を広く学ぶ。生物学部は、生物に対する純粋な好奇心を専門的な知識へと高めていく学部としてスタートしました」と竹中践学部長は語る。陸の生物を学ぶ生物学科と、水中の生物を学ぶ海洋生物科学科の2学科からなり、生物学の基幹的分野に的確に携わることのできる人材を育成していく。

両学科ともに1年次には「生命倫理」や「生物学」などの基礎科目のほか、「英語」といった教養科目で土台を固め、2年次からは専門科目も多く開講される。学生たちはフィールドワークや実験実習を通して、具体的な将来像を構築しながら、卒業論文の完成を目指す。

陸と水中の生物を座学と実習で学ぶ

各学科の専門科目はそれぞれ2つの学系に分かれている。生物学科は、食品科学や遺伝子工学などのバイオ技術を身につける「生命科学系」と、動植物の生態や分類、動物行動などを学ぶ「自然生態系」に分類される。特に「自然生態系」では座学で野生生物の調査法を学ぶだけでなく、フィールドに出てさまざまな生物の生態調査を体得するほか、コンピューターでの行動解析も行う。

一方の海洋生物科学科では、海や河川・湖沼の生き物の生態や、海水の化学成分の調査法を習得する「環境・生態科学系」と、水産生物のからだの構造や加工法などを学ぶ「水産科学系」の授業を展開する。実習には、釣り技術について科学的に学ぶ「フィッシング」や、クジラの観察を通して生態を知る「ホエールウオッチング」なども盛り込まれている。水族館や漁協に勤めるめる卒業生らによる職業紹介や、それらの職業を体験する授業が開講されるのも特徴の一つだ。

学生は一つの学系を深く学習することも、複数にわたって幅広く学習することも可能。竹中学部長は、「実験や実習で生き物について広く学びつつ、徐々に方向性を見極めてゼミや卒業研究でもう一歩踏み込んでほしい」と期待を寄せている。


個性豊かな学生たちに将来を見据えた学びを
Interview 生物学部 竹中 践 学部長

北海道東海大学に工学部生物工学科が開設された1988年当時、生物学は研究者か学校の教員になるための学問でした。それが90年代に入ってバイオテクノロジー分野が重要視されるようになり、徐々に生物多様性や自然生態系への注目も高まっていきました。これに伴い、全国にバイオや生命工学に特化した学科は次々に増えていきましたが、実は純粋に生物全般を学べる生物学科は国立大学以外にはほとんどありません。だからこそ本学部は、高校の生物の授業や生き物が好きな若者たちが、楽しみながら自らの興味や可能性を広げられる場にしたいと思っています。

この春、191人の生物学部1期生が入学してきました。61%は道外出身者で、やる気のある個性豊かな学生が多いですね。来年、札幌校舎で爬虫両棲類の学会を開催すると話したら、早くも「手伝わせてください」と言ってきた学生や、まだ雪があるのに「昆虫が好きだ」と言って網を振っている学生もいます(笑)。彼らと新しい学部をつくっていくのはとても楽しみです。

自然豊富な北海道では、すぐ近くに学びのフィールドがあります。私は爬虫両棲類が専門で、全国のカエル愛好家たちと卵を産んだ時期などをメーリングリストで報告し合っているのですが、仲間内でも繁殖期に毎日観察できているのは私ぐらい。これもキャンパス内に光風園という林があるからできるのです。学生にもこの大自然の中でのびのびと学びながら、少しずつ自分の将来を定めてほしいですね。


[もう一つの話題]国際文化学部デザイン文化学科がスタート
ものづくりの技術とプロデュースする力を育む


札幌校舎の国際文化学部に新設されたデザイン文化学科が4月6日、同校舎で新入生研修会を実施した。1年生67人が、自身が4年間使用する「Myワゴン」を制作。楽しみながらものづくりの基礎を学んだ=右写真。

同学科では、「グラフィックデザイン」「広報・広告デザイン」「商品デザイン」「建築・インテリアデザイン」の4分野を中心に、社会で活躍するための実践的なスキルを育んでいく。デザインの技法を習得する授業だけでなく、「アイディア発想法」「プレゼンテーション」「企画構想論・同演習」なども用意。近年、ものづくりの現場で製作技術に加えて求められるプロデュース力も養える。国際文化学部には、スポーツ、語学、デザインといった専門の異なる3学科が集まっているため、自学科で学ぶだけでなく他学科と連携することによって学びの可能性は大きく広がる。

学科主任の林拓見教授は、「論理的に頭(Head)で考え、人を思う心(Heart) を持ち、手(Hand)を動かして形を作る。他学科ともコラボレーションしながら“3H”を磨き、ライフスタイルを提案できる人材を育てていきたい」と話している。

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