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特集

2011/01/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

特別講座「現代日本を英語で学ぼう!」を開催

留学生と日本人学生が共に学ぶ

日本人学生と留学生が「日本」について英語を使って学び、議論する―。国際教育センターが主催する特別講座「現代日本を英語で学ぼう!」が、昨年10月11日から12月20日まで開講された。講座を担当するのは、理系から文系まで幅広い分野の専門教員18人。全学の教員が連携した新しい取り組みに、のべ300人の学生が参加した。

全18回にわたり、日本のポップカルチャー、伝統文化、国際関係、工業技術の4 テーマに関する講義が行われた特別講座「現代日本を英語で学ぼう!」。湘南校舎にある工学部や文学部をはじめ、沼津校舎の開発工学部や阿蘇校舎の農学部など、所属するキャンパスや専門分野が異なる教員18人が交代で講義を担当する形で実施された。東海大学では、これまでにも各学部の専門科目を英語で開講するといった取り組みが行われてきたが、全学の教員が連携して英語で講義を担当するのは初の試みだ。

国際教育センターの内田裕久所長(工学部教授)は、「日本人学生と留学生が共に学ぶことで、一つのトピックでも多様な見方があることを相互に体験する場を作りたいと企画した」と話す。同センターでは、開講にあたって湘南校舎の全学生を対象に受講生を募集。単位認定はないものの、工学部や文学部の日本人学生から別科日本語研修課程の留学生まで、多様な学生が集まった。

「やる気さえあれば語学の壁はクリアできるという考えから、学生の英語力は問わなかった」と、運営を担当した同センターの藤巻裕之講師は語る。マンガや日本的経営、モータースポーツといったバラエティー豊かな講義の中から、自分の興味に合ったものを選んで受講できるのも、今回の特別講座の特徴だ。

意見交換を通して新しい視点を発見

10月25日に行われた高妻容一教授(体育学部)の講義「空手とメンタル・トレーニグ」を聴講した飯田あやさん(文学部2年)は、「所属学部以外の先生方の講義を受けられるのが、この講座の魅力。毎回参加することで英語を聞き取る力もついてきた」と語る。デビット・コルベさん(別科日本語研修課程)は、「英語で講義を受けられるので、日本語では理解しにくい微妙なニュアンスも分かる。日本についてより深く知ることができました」と話す。

各講義では学生らがより積極的に参加し、意見を交換できるようにとさまざまな工夫もされている。例えば、10月11日に行われた「グローバル言語としてのアニメーション」では、五嶋正治准教授(文学部)が表現形態としてのアニメの可能性を解説しながら、短編アニメを上映。映像中に出てくるシーンの意味を考えるワークショップも行われ、日本人学生と留学生が各場面の解釈について話し合った。「人によって多様な意見を持っていることを確認できた。より深い知識や新しい視点の発見にもつながりました」と李佳紋さん(教養学部2年)。

12月6日に行われた本間重雄教授(工学部)の授業「現代土木工学」では、本間教授自身が世界各地で撮影してきた橋やダムなどの写真や動画を紹介。土木建築の歴史や日本と世界の技術の違いなどを分かりやすく説明した。

副専攻科目として4月から本格スタート

これらの成果を踏まえ、日本人学生と留学生が英語で学び、議論するスタイルの講議が、副専攻科目の一つとして来年4月から本格スタートする「Japanese Studies for Global Citizens」と題して開講される副専攻科目では今回同様、教員による講義だけでなく、学生同士が意見を交換するワークショップなども実施される予定だ。内田所長は「グローバル化が進むこれからの時代には、多様な価値観や文化の垣根を越えて活躍できる力量が求められる。その力を身につける第一歩として活用してほしい」と話している。


社会の視点から
㈱国際開発ジャーナル取締役 大学関連事業部長 皆元 聡さん

近年、大学生の外国留学が世界的に活発になっています。2020年には世界で600万人が留学するようになるともいわれており、日本政府も08年から「留学生30万人計画」を立ち上げるなど、留学生獲得に向けた努力を続けています。こうした中、国内の大学には留学生受け入れ体制の整備や外部評価の向上、日本人学生の国際化を進めることが求められています。英語での授業開講は、最も重要な具体策の一つです。文部科学省の統計によると、07年段階で194大学で英語での授業が開講されており、今後さらなる増加が予想されています。

今回開講された東海大学のプログラムで興味深いのは、留学生と日本人学生が式を取っている点です。これによって、キャンパスにいながら日本人学生が国際感覚を磨くことが可能となり、留学生との人的なネットワークを築くことができる。ここで培ったものは、学生が将来グローバル化した社会の中で国際的に活躍する基礎となるでしょう。特定の分野に偏らず、幅広い知識を身につけられる点も良い。海外の人と接するときに欠かせない教養を身につけることにつながります。授業では、留学生と意見がぶつかることもあるかと思います。しかしそうした経験をすること自体が、学生の財産となると期待しています。

 

(写真上)五嶋正治准教授(文学部)の授業の様子。アニメーションの解釈について、さまざまな意見が発表された
(写真中)11月8日の堀啓子准教授(文学部)の「日本古典文学」の講義では、学生希望者が十二単の複製を試着。平安時代の女性の気持ちを体験する場面も
見られた
(写真下)本間重雄教授(工学部)の授業

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