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特集

2014/10/01
教育の現場から
話題の授業や地域・企業と連携した課外活動など、東海大学の特色ある教育現場に迫ります。

医療短大のデンマーク看護研修

相互交流を積み重ねて40 年
国際的視野で看護を考える


医療技術短期大学のデンマーク看護研修が、8月18日から9月1日まで行われた。40回を迎えた今年は、1年生11人、2年生6人の計17人が参加。高齢者住宅や病院の見学をはじめ、VIAユニバーシティカレッジでの講義や演習、グループワークなどを通してデンマークの看護を学んだ。



1975年から毎年実施されているデンマーク看護研修は、医療短大ならではの特色ある教育プログラム。看護を通してデンマークの文化や社会に触れることで、国際的視野を身につけることを目的としている。

15日間の研修の前半は、コペンハーゲン近郊にある東海大学ヨーロッパ学術センター、後半はVIAユニバーシティカレッジを拠点に、医療関連施設などを訪問。現地の看護学生や教員の指導を受けながらバイタルサインのチェックを体験するなど、デンマークの医療現場を肌で感じられるプログラムが組み込まれているのが特徴だ。参加者は、デンマークの歴史や文化、英会話などを学ぶ事前研修と、11月の飛鴎祭での展示とオープンキャンパスでの報告を行うことで、基礎教育科目として単位認定されている。

現地学生との交流で日本との違いを知る

「日本とデンマークの病院の共通点と相違点を、自分の目で確かめたいと思って参加しました」と話すのは岩原康子さん(2年)。研修中は現地の看護学生に日本の行事などを英語で紹介したほか、グループディスカッションも経験。「片言の英語しか話せなかったけれど、一生懸命話したら相手にわかってもらえた。うれしいと思うのと同時に、語学力の重要性を痛感しました」と振り返る。

佐藤佳奈さん(1年)は、「看護を学ぶ学生同士、“患者さんの役に立ちたい”という看護の精神は同じだと感じました。いずれは両国の長所を生かせるような看護師になりたい」と話す。団長を務めた中田芳子教授は、「研修を重ねるにつれて積極的に質問する姿が増えるなど、学生たちはどんどん成長していった。高齢者と子どもを大切にし、一人ひとりの生き方を尊重するデンマークの社会を自分の目で見たことで、得たものは多い」と語っている。

記念のレセプションで節目の年をともに祝う

研修中の8月28日にはVIAユニバーシティカレッジ主催による「40周年記念レセプション」が行われ、研修団一行のほか両大学の関係者ら約60人が参加した。同カレッジは1975年の第1回から、毎年欠かさずデンマークでの研修をサポート。講義や演習体験、学校施設の見学にとどまらず、研修学生を教員宅に招いて食事会を開くなど、公私にわたるきめ細やかな心遣いで一行を受け入れてきた。その交流の歴史を礎に、2000年に両大学の間で学術交流協定を締結。協定締結後はデンマークからの研修団が医療短大を訪れるなど、長年の信頼関係を軸に交流の幅を広げている。

レセプションでは、1995年から研修の協力責任者を務めてきた同カレッジのインガ│M・イェンセン健康科学部副学部長が、学園の創立者・松前重義博士とデンマークとのつながりに触れつつ、「今後も両国の協力関係を深めていきたい」とあいさつ。研修団の学生たちがお礼の気持ちを込めて、日本の歌と踊りを披露した=写真。

友好の絆を大切にさらなる発展を
2000年に「デンマーク看護研修25年間の歩み」と題した調査報告書をまとめた望月好子教授は、「この研修が途絶えることなく続けられてきたのは、デンマークの看護関係者やヨーロッパ学術センターのスタッフなど、多くの人々の協力があったおかげ」と感謝する。調査報告書によると、初期の研修では学校寮や病棟などを宿泊先として無料で提供してもらったことも。遠い異国から来た学生の費用負担を少しでも抑えてあげたいという、デンマークの人々の心遣いが感じられる。

「40年間続いたデンマークとの友好関係は、医療短大の財産。この絆を今後も大切に、さらに深めていきたい」と望月教授は話している。

(写真上から)
▽VIAユニバーシティカレッジでは、現地の看護学生の演習にも参加した
▽シルケボー病院の手術室を看護師の案内で見学
▽15日間の研修で参加者同士の絆も深まった

 
もう一つの話題
健康科学部 英語の看護コミュニケーション能力を養う
ハワイ研修で国際的な視野を開く

健康科学部看護学科のハワイ研修が9月6日から16日まで、アメリカのハワイ東海インターナショナルカレッジ(HTIC)を拠点に実施された。4回目となる今年から2年生も対象となり、1年生8人、2年生2人の計10人が参加した。期間中はHTICで基礎的な医療英語を学んだほか、看護教育施設やクリニックも見学。また、現地で働く日本人看護師からアメリカの保健医療制度や看護職の仕事について聞くなど、多彩な角度から日本と異なる医療制度を垣間見た。

直前に看護実習を受けて参加した後藤春菜さん(2年)は、「日本の医療現場との違いを肌で感じた」と刺激を受けた様子。池上寧音さん(同)も「海外で看護師として働く視野が開けた」と話す。

なお、同学科ではハワイ研修のほか、デンマークの保健医療福祉施設での研修(2・3年生対象)、アメリカのメイヨメディカルセンターでの看護研修(3・4年生対象)を実施。3段階のプログラムで国際的な視野で看護を考えられる人材の育成を目指している。研修を担当する井上玲子准教授は、「ステップアップしていく海外研修を体験し、将来の選択肢を広げてほしい」と語っている。

(写真)6日間みっちり看護英語を学び、HTICから修了証が授与された

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