特集:教育の現場から
2016年2月1日号
生物学部から1期生が間もなく卒業
◆座談会◆
北海道の自然から得た知識と経験胸に社会へ

2012年度に札幌校舎に新設された生物学部から、この3月に1期生約160人が卒業する。生物学科と海洋生物科学科の2学科で、北海道の自然環境を生かし、生物全体を広く学ぶ4年間に学生たちは何を感じ、どのような力を身につけて社会へと旅立つのだろうか―。4年生4人に語り合ってもらった。(構成・編集部)

―出席者―(写真左から)
■生物学科
栗山大輝さん 井関真依さん
■海洋生物科学科
五十嵐大将さん 平野このみさん


――皆さんはどのようなきっかけで生物学部を志したのでしょうか?
五十嵐 中学校の職場体験で地元・山形県内の養殖場を訪ね、生物の生態系に興味がわきました。
平野 子どものころから水族館の飼育員に憧れていて、出身地の札幌で海について学べて、学芸員の資格も取得できる大学があると知って志望しました。
井関 私も子どものころから生き物好き。“自然との共生”について学べるのではと期待して大阪から札幌に来ました。
栗山 関東地方出身の僕はやはり自然豊かな北海道の環境で学べるという点が魅力的でした。生命科学から生態系まで幅広く学べる学科のカリキュラムにもひかれました。

――4年間で印象に残った授業や実習はありましたか?
井関 札幌校舎内にある緑地「光風園」や校舎に近い定山渓では、土壌生物や昆虫、鳥類の採集など盛りだくさんの実習に取り組みましたね。
平野 実習といえば、海洋生物科学科では学園の海洋調査研修船「望星丸」を使って4泊5日の海洋実習に行きます。プランクトン採集や水質調査など本格的なプログラムに挑みましたが、何より課題の量が多くてまいりました(笑)。
栗山 大学の施設を生かすという意味では、沖縄・西表島にある東海大学沖縄地域研究センターでの実習も忘れられません。普段いる北海道との違いを体で感じながら学べました。
五十嵐 インターンシップで水産試験場を訪ねたり、留萌や函館などにある水産関係の施設で研究に携わったりする機会もありました。水産業の現状を学べたほか、人とのつながりも得ることができました。卒業後は北海道栽培漁業振興公社に就職するので、有意義な経験を積めました。

――札幌でのキャンパスライフはいかがでしたか?
井関 公認サークルの「自然科学研究会」で、ワカサギ釣りや天体観測、雪合戦まで、楽しい思い出でいっぱいです。
平野 私は学芸員実習の授業がきっかけで、北海道大学総合博物館で鳥類の標本作りのボランティアをしました。専門外ですが、非常に貴重な体験になりましたね。
五十嵐 ハムスター好きが高じてエゾリスにも興味がわき、北大のヒグマ研究会との交流もできました。キャンパス内外で充実した学生生活が送れたと実感しています。

――多くの経験からどのような力を得たと感じていますか?
栗山 何より視野が広がりました。最初は「生き物が好き」だけだったのが、生態系や生物間のつながりにも興味がわいてきました。卒業間近だけどまだまだ学びたいことはいっぱいあります。4月からは千葉県の私立高校で教員になるのでこの経験を生かしていきたいです。
井関 何を調査するにもさまざまな準備が必要で、研究などを通じて物事のつながりに意識が行くようになりました。
平野 大学生活のさまざまな場面で一つのテーマについて考えるとき、その周辺の考え方も組み合わせて考える必要があると学びましたね。
五十嵐 専門分野以外の知識も多くの場面で役に立つもの。まだまだ未熟だけれど、生物学部の4年間は自分のバックグラウンドを広げる場所だったと思います。

[学部長に聞く]
生物学を素養に幅広く活躍を
生物学部 網野真一 学部長

本学部は、前身の生物理工学部から「工学から理学への転換」という新たなコンセプトのもとにスタートしました。実学系の工学に比べると純粋な学問志向の学部学科であり、生き物が好きな多くの学生にとって「学びたいことが得られる場」であることを目指してきました。 

1期生の卒業が間近に控えていますが、両学科とも就職については、教員や公務員、環境関係、食品・医薬品メーカーなど専門に近い分野にとどまらず、観光、金融関係まで幅広い業界に決まっています。自分の可能性を広げて、柔軟に就職活動に取り組んだ成果ではないでしょうか。大学で修めた生物学の素養を必要とされる場面は今後ますます増えていくと思いますので、さまざまな業界で活躍してもらいたいと願っています。

今後も学生たちの期待に応えるべく、実験施設や教員の充実など環境整備に取り組んでいき、教育研究のさらなる展開を図っていく考えです。


もう一つの話題
デザイン文化学科1期生卒業に向けて初の卒業研究展を開催

生物学部と同じく、2012年度に開設された国際文化学部デザイン文化学科からも、この3月に1期生が卒業する。

学科主任の田川正毅教授は、「多くの1期生は自らの“思い”を大切に特色のある企画や作品制作に取り組んでいました。また、就職決定率も1月時点で約80%をこえ、その過半数がデザイン関連企業に決まっています。1年生からポートフォリオ(作品集)制作やプレゼンテーション能力向上を見据えた授業を展開してきた成果が表れました」と語る。

卒業に先立つ2月24日から28日まで、札幌市民ギャラリーで「卒業研究展」が開催される。この展示会は、学生たちが集大成として取り組んだ、グラフィックや映像、空間デザイン、製品などの作品約60点を紹介するものだ。田川教授は、「学生たちは就職活動と卒業制作の両輪をフル回転して頑張ってくれました」と話している。

 
(写真上)海洋生物科学科の亜熱帯海洋フィールド実習では、西表島の沖縄地域研究センターをベースに、潜水調査やフィールド調査などを実施。水生生物や珊瑚礁の観察を通じて「北の海」と「南の海」の生態系を総合的に学ぶ
(写真中)質量分析計など最新の機器を使って行われる生物学科の実験。生命科学系の専門科目では、細胞や遺伝子などの基礎から、細胞工学、遺伝子工学、食品科学などのバイオ技術が身につけられる
(写真下)卒業研究展は昨年12月12日から1月15日まで、札幌校舎内でも開催された