特集:教育の現場から
2011年8月1日号
子ども向けワークショップを定期開催
静岡地区の幼―大の教員が連携し
算数・数学の面白さを伝える


静岡地区にある学園の各教育機関に所属する教員有志の会「算数・数学教育交流会」が、今年度から静岡駅前で子ども向けのワークショップを定期的に開催。多面体の模型づくりを通じて、算数・数学への興味や関心を広げる活動を活発化させている。

36枚ある小さな型紙を、真剣な顔つきで1枚ずつ丁寧に折る幼稚園児や小学生。折り上げた型紙同士をつなぎ合わせる手順に悩んでいると、すかさず講師役の教員や学生が手本を示しながら丁寧に教えていく……。

静岡駅前にある「静岡科学館る・く・る」で5月から原則として月1回開催されている多面体ワークショップは、専用の型紙を使って切頂八面体(正八面体の各頂点部を切り取った多面体)を完成させる工作実習。静岡地区にある学園の各教育機関(付属幼稚園、付属小学校、付属翔洋高校、同中等部、短期大学部、海洋学部)に所属する教員有志が集う「算数・数学教育交流会」のメンバーが中心となって実施している。

「工作を通じて多面体の美しさや奥深さに触れることで、算数・数学への興味や関心を広げるきっかけになれば」と語るのは、まとめ役でもある翔洋高中等部の津田素一教諭。交流会では2004年の発足時からの中心メンバーである海洋学部の渡邉信教授(当時)の指導のもと、「紙で作るサッカーボール」や「ストローをつないで立体を作る」などを定例会で教員自ら体験。その成果を生かして「る・く・る」で開かれるイベントなどにも参加、学園の各教育機関を学外にアピールする活動を展開してきた。今回のワークショップは、その経験と実績を踏まえたもの。「る・く・る」の助成金と科学技術振興機構の採択を受けて、交流会としては初の定期開催となった。

短大生や高校生もボランティアで参加

「教える立場になることで算数・数学の違った側面も見つけてほしい」との考えから、交流会では学生らにもワークショップへの協力を呼びかけ。2回目となった6月18日には、短期大学部の学生4人と翔洋高の生徒2人が、教員とともに子どもたちを指導した。

「どうしたら理解してもらえるかを考えながら教えた。一生懸命に教えた子が無事に多面体を完成させた時はうれしかった」(翔洋高2年・佐々木渚(なぎ)さん)、「子どものコメントに意外性があって面白かった。児童教育学科なので、このような機会を今後も大切にしたい」(短期大学部1年・青島侑美さん)と、学生らは初の“講師体験”に戸惑いながらも、子どもたちとのふれあいを楽しんでいた。

学園の仲間と交流を重ね今年で8年目50回の節目

「算数・数学教育交流会」は、渡邉教授(当時)や津田教諭らが中心となって04年から始まった静岡地区の教員有志による交流会だ。算数・数学教育に関するテーマを中心に話し合い情報交換することで、教育機関や学科の枠を超えた教員同士の交流を深めることを目としている。月1回の定例会を中心に活動を積み重ね、5月11日に8年目50回の節目を迎えた。3年前から交流会に参加している短期大学部経営情報学科の青木孝子講師は、「付属校の先生方と知り合いになれたことで高校や中学校の様子が分かり、学園の一員としての視野が広がった」と語る。

定例会で取り上げるテーマは算数・数学の諸問題だけにとどまらず、公開授業の反省会や現代インドの教育事情、メディア・リテラシーなどさまざま。理科や英語などの教員も加わり、毎回10人前後で意見が交わされる。前述のワークショップをはじめ、この会がきっかけとなって中等部の教員が付属小学校で公開授業をするなど交流の輪も広がっている。

津田教諭は、「参加者全員が義務感ではなく、面白いと思って自主的に参加しているのが長年続いてきた一番の理由だと思います。学園の教育機関の一員として私たち教員同士が連携し、お互いを知り合うことで、教える子どもたちも成長するはず。今後もこの会をきっかけにして交流の輪を広げていきたい」と話している。

【札幌校舎 サイエンス・スパークス】
アイデアあふれる実験を企画 小学校や児童館で理科教室

鉛筆の芯を使った燃料電池や、洗濯のりで作るスライムなど、アイデアあふれる実験を通して、子どもたちに科学の楽しさを伝える活動を展開しているのが、札幌校舎の「サイエンス・スパークス」。

同校舎の学生サークル科学部に所属する学生と教職科目「理科教育法特論」の受講生約20人が中心となって活動している。いずれも「子どもと接するのが好きで、勉強熱心な学生ばかり」(リーダーの西嶋いずみさん・生物理工学部2年)。毎週1回、科学に関するテーマで勉強会を行い、メンバーで話し合いながら科学実験を企画。子ども向けのイベント「科学の祭典」のほか、地域の小学校や児童館で理科教室を行っている。参加者が安全に楽しみながら学べるイベントにしたいと、実験内容は対象年齢に合わせて変更。定期的に新しいプログラムを加えるほか、終了後には反省会を開き、内容を改善している。

西嶋さんは、「人に説明するためには自分がしっかり理解できていなければならないため、勉強は大変。でも、参加者が『分かった』と言ってくれた時が何よりうれしい。これからも理科の面白さを伝えていきたい」と話している。

 
(写真上から)
▽生徒らの熱心な指導のもと、多面体を作り上げていく
▽見た目もかわいらしい多面体模型。36枚の型紙を使って作る切頂八面体は、40分から1時間で完成する
▽6月18日のワークショップには約60人が参加した
▽50回を迎えた5月11日の定例会
▽7月16日には付属第四高校で、「青少年のための科学の祭典札幌南大会」を開催した