特集:教育の現場から
2012年7月1日号
九州キャンパス副学長推進プロジェクト
基礎学力のアップを目指す学生の 自主的な学びを支援

九州キャンパスで学生、特に1年生の基礎学力充実を目指した取り組みが展開されている。九州キャンパスで独自に実施している副学長推進プロジェクトの採択を受けたもので、熊本校舎は「基礎教育支援プロジェクト」、阿蘇校舎は「学習支援ルーム『あっそ〜?!』」として活動。特色ある教育の現場を訪ねた。

【熊本】学部学科を横断し多彩な活動を展開

熊本校舎の「基礎教育支援プロジェクト」は、産業工学部と総合経営学部、熊本教養教育センターの教員が連携。昨年度から九州キャンパス教育活動支援プログラム=「副学長に聞く」を参照=に採択され、活動を開始した。

運営を担当する伊藤是清准教授(産業工学部)は、「入学試験の多様化や高校時代の履修カリキュラムの違いなどにより、英語や数学、理科など基礎科目で新入生の学力レベルの差が大きくなっています。このプロジェクトでは、熊本校舎で学ぶすべての学生の基礎学力充実を目指しています」と話す。

昨年度は、産業工学部の学生を中心に、定期試験前合同学習質問会や同学部の1〜3年生を対象とした独自の学力評価テスト、オフィスアワーを利用した基礎科目の補習などを実施してきた。「テストは自由参加ですが、約8割の学生が参加しました。点数が一定ラインに達しなかった学生には補習を行い、全体のレベルアップを図っていきます」と伊藤准教授。

今年度も4月にテストを実施したほか、7月には合同学習質問会の開催を予定。プログラムを通じ、将来的には独自の学士力基準「東海スタンダード」の策定を目指す。伊藤准教授は、「初年次から基礎学力のアップに取り組むことで、ゆくゆくは就職活動でのSPI試験などにも生きていきます。学生たちにはぜひ積極的に参加してもらいたい」と話している。
 

(写真上から)
▽昨年7月に実施した定期試験前合同学習質問会では、産業工学部の教員が、学生たちの学習をサポートした
▽自由参加の学力評価テスト(昨年9月)。これらのデータを蓄積し、学習補助方法の改善や就職支援などへのフィードバックを図る計画だ
 


【阿蘇】5年目の『あっそ〜?!』“学びの居場所”つくる

毎週2回、阿蘇校舎2号館の学生実験室とラウンジで開かれる「あっそ〜?!」。開始時間になると、学生たちが三々五々集まってくる。参考書を開くグループや一人黙々とリポートに取りかかる学生、さっそく教員をつかまえて質問攻めにする学生の姿も。「『あっそ〜?!』は学生たちが自ら学習に取り組める牾悗咾里燭瓩竜鐓貊蠅鼎り〞を目指しています。参加は自由で、教室内で何の勉強をしてもかまいません」と話すのは、プロジェクトを運営する阿蘇教養教育センターの増岡智加子准教授。

「基礎学力向上を柱とした学習支援活動〜農学部初年次学生を主たる対象とした学習支援ルーム『あっそ〜?!』の取り組み〜」という課題名で、2008年度から活動を開始。数学や理科など基礎科目に困難を感じている学生の支援をはじめ、学生が気軽に質問できる雰囲気づくり、学習意欲の向上などを目的に、同センターの教員が主体となって取り組んできた。

自由に参加が可能 仲間や教員との会話も
「先生に早く顔と名前を覚えてもらいたくて来ました」と元気よく話してくれたのは、村井彩奈さん(農学部1年)たち5人のグループ。生物学のリポートに取り組みながら、担当する桝田信也講師の指導を受ける。化学の中間テストを復習していた中園悠希さん(同)は、「自由に話せて、途中で帰ってもいいので、気軽に楽しく勉強できています」と有効活用している様子だ。

『あっそ〜?!』では、「しゃべり場」と名づけた、自由討論の活動も実施している。増岡准教授は、「社会で活躍するにはコミュニケーション能力も重要。人前で話す、聞くスキルを身につけてもらいたい」と語る。

「しゃべり場」は、昨年度から『Asso?! English』としてネイティブスピーカーの英語教員と学生が、「音楽」や「映画」などさまざまなテーマについて英語で語り合う時間にもなっている。「毎週参加している」という原田健汰さん(同)は、「海外留学を考えているので、ネイティブの先生とマンツーマンで話せるのはうれしい」と話す。プロジェクト代表者の奈良知惠教授は、「今後は授業や農学部の専門科目の先生方と連携を深め、内容の充実を図っていきたいと考えています」と意欲を語っている。
 

(写真上から)
▽今年度は5月の連休明けから活動開始。「大学生活に慣れるこの時期から、勉強する習慣を身につけてもらいたい」と増岡准教授。毎回、30〜40人の学生が参加し、思い思いの課題に取り組んでいる
▽昨年度から始まった『Asso?! English』。ネイティブスピーカーの教員とマンツーマンでの会話も
 


副学長に聞く
魅力ある教育活動で学習効果の向上を

加藤雅史 副学長(九州キャンパス担当)

九州キャンパスでは、熊本、阿蘇両校舎の教員による特徴的な教育活動の推進を目的に2008年度から「九州キャンパス教育活動支援プログラム」を実施しています。まず応募のあった取り組みを書類審査し、経費的な助成を決定します。計画に基づき1年間活動を展開し、年度末に審査を兼ねた成果発表会を行います。成果が顕著である課題を「副学長推進プロジェクト」として採択し、次年度も活動を推進しています。

このように九州キャンパスの魅力ある教育活動を発掘し支援することにより、学生の学習効果のさらなる向上、地域社会で活躍する人材の養成を目指すものです。今年度は、「基礎教育支援プロジェクト」と「学習支援ルーム『あっそ〜?!』の取り組み」のほかにも、産業工学部電子知能システム工学科による、「高大連携サイエンスプロジェクト」(「インターネット大学」から名称変更)、同学部機械システム工学科による「ロボットマイスタ制度の構築とロボットラボにおける活動の支援」を実施します。

プロジェクトを通じて、学生と教職員が積極的に活動を展開し、大きな成果をあげることを期待しています。