Column:Point Of View
2020年6月1日号
お題/標コメント
体育学部生涯スポーツ学科 松下宗洋 助教

この企画では年4本のコラムを掲載する。せっかくいただいた機会なので、何を書くか思案した。4本を通してストーリー性を持たせるか、研究の視点から書くか、未経験のことへのチャレンジ報告(これだと、初回テーマはバリカンでのセルフカット)など、いろいろと検討したが、ピタッとくるテーマは決まらなかった。

そこで、もう自分で決めることをあきらめ、身近な人物に「私といえば何?」と聞いて回り、その回答をテーマとすることにした。初回のテーマは、私の研究室に所属する一人の学生の回答「辛口コメント」である。

この「辛口コメント」は、私がスパッと意見を言うことを指している(と思いたい)。この評価の背景には、私が研究を始めた経緯がかかわっている気がする。

私が研究を始めた理由は2つある。1つ目は、私が大学2年生の夏休み、高校球児をプロ野球選手に育てるゲームに熱中していたのだが、ある日ふと「ゲーム内の高校球児は数時間でプロ野球選手に成長しているのに、この時間に自分は全く成長していない!」と妙な焦りを感じたこと。2つ目は、漫才コンビ・爆笑問題のファンであることが関係する。

私は中学生のときから、爆笑問題の、特に太田光さん(ボケ担当)のファンである。ときに辛口と評される太田さんによる社会の切り取り方が面白く、彼が出演するテレビやラジオなどを追いかけていた。すると次第に、「社会の出来事に対して、自分の意見を伝えることはカッコいいな」という思いが生まれ、私も自身の考えや意見を伝えられる仕事に憧れるようになった。

そんな漠然とした焦りのエネルギーを持ち、就職についても考え始めた大学2年生の秋に、私はある研究室の抄読会(研究論文を読む会)に参加し、初めて論文と出会った。私にとってそのときの最大の発見は実験のデータではなく、「論文を書けば、自分の意見を発信できる!」ということだった。それから研究者を目指し、今に至っている。

私も、自分が見始めたときの爆笑問題と同じくらいの年齢になった。これからも研究を通じて、自身の考え・アイデアを発信していきたい(オブラートの包み方も覚えていきたい……)。

(筆者は毎号交代します)
 
まつした・むねひろ 1987年東京都生まれ。東海大学体育学部卒業。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士課程修了。博士(スポーツ科学)。専門はスポーツ疫学・公衆衛生学。