コラム
2024/03/013月は旅の季節。春の訪れを感じる暖かな日が徐々に増え、外を歩き回るのに適した時期だ。春休みを利用して旅行を計画している学生も多いと思う。
そう書くと、私は熊本大学に通っていた学生時代の楽しい旅行のことを思い出す。クラスの友人たちと朝から夕まで宮崎県の甘酢がけチキン南蛮発祥の店やタルタルソースがけのチキン南蛮発祥の店を巡り、夜は地鶏焼きの店で乾杯する鶏尽くしの旅であったり、下宿先の先輩や大家さんと車で阿蘇の外輪山を一周するドライブ旅に出かけたり(昔ながらのまかないつきの下宿で大家と店子で仲が良かった)……いろいろと遊びに出かけた記憶が懐かしく思える。
研究室の卒業旅行は、実家が大分県別府市のうなぎ料理店である同期の里帰りに同行するというもので、学生の時分ではなかなか堪能できないうなぎをごちそうになったのはもちろん、別府のレトロな旅情あふれる温泉文化を楽しませてもらった。私が昭和の面影が残る風景が好きになったのはこの旅の影響だったかもしれない。
福岡県の実家へ帰省するのでさえ、その行程を旅として楽しんだ。友人から格安で譲ってもらった自動車で、地図を頼りに前回使ったのとは違う知らない道を開拓する遠回りの旅路。非合理な選択もできるという移動の自由、どこにでも行ける万能感に魅せられてしまったからだろう、私はすっかり車好きになってしまった。
私のように旅の過程で影響を受けて、趣味嗜好や新たな観点を得る人も多いと思う。人生はよく旅に例えられ、英語にも複数の旅の連続からなる長い旅行を表す「Journey」や、長い航海・船旅を表す「Voyage」という旅関連の言葉を人生になぞらえて用いることがある。知らない新たな場所へ行ってみたり、よく知る場所でも使わない道や手段で行ってみたり、ちょっとした挑戦のある旅の連続で人間は成長できるのかなと振り返る。
卒業を旅立ちに例えることも多い。旅立つ皆が、新しい出会いや発見に満ちあふれた人生の旅路に恵まれるよう願う。(筆者は毎号交代します)
2024/11/01
スモール・イズ・ストロング
2024/10/01
サックスという趣味を続ける③
2024/09/01
学歴社会から専門性を重視する社会へ
2024/08/01
スモール・イズ・バルネラブル
2024/07/01
サックスという趣味を続ける②
2024/06/01
外国法を真に学ぶ方法と必要性
2024/05/01
スモール・イズ・ビューティーフル
2024/04/01
サックスという趣味を続ける①
2024/02/01
“違和感”が教えてくれたこと
2024/01/01
理科で学ぶ「条件制御」を日常に
2023/12/01
趣味のすゝめ
2023/11/01
海を渡ってブリコラージュ
2023/10/01
「推し本」を語り合うこと
2023/09/01
君たちはどう逃げるか
2023/08/01
「未来塾」で見る日本社会の「未来」
2023/07/01
「分かりやすさ」にご注意
2023/06/01
衣付けの楽しみ
2023/05/01
ぷらっと優しいつながりを
2023/04/01
AIが変える検索と教育の未来
2023/03/01
カウンセリングとアドボカシー
2023/02/01
骨にまで残る病気
2023/01/01
まず隗より始めよ②
2022/12/01
カウンセラーもがまださんと!
2022/11/01
骨に記録された食事
2022/10/01
まず隗より始めよ①
2022/09/01
面接室の外の心理療法
2022/08/01
歯の抜き方も好き好き?
2022/07/01
活用なき学問は無学に等し
2022/06/01
模索の日々
2022/05/01
サメに食べられたヒト
2022/04/01
挑戦できない社会人を大量生産しないために
2022/03/01
コロナ禍で進むICT利活用、今後は?
2022/02/01
真夜中の争奪戦
2022/01/01
黒い雪
2021/12/01
思考の整理に便利なツール
2021/11/01
3年半を振り返って
2021/10/01
月明かりが生む闇のかたち
2021/09/01
アフターコロナの学びを考える
2021/08/01
分類学と博物館を巡る旅
2021/07/01
喘息と獣
2021/06/01
学ぼうと思ったきっかけ
2021/05/01
深海魚と私
2021/04/01
作品をみることは、自分自身をみること
2021/03/01
お題〈番外編〉 卒業を振り返る
2021/02/01
趣味を通して世界を広げる
2021/01/01
〈自分の意見〉を伝えること
2020/12/01
お題③ざんねんないきもの
2020/11/01
動物愛護とアニマルウェルフェア
2020/10/01
〈別れ〉と向き合う
2020/09/01
お題② 平均